オレンジワインからみる編集力・前編

2026.5






昨年、カーブドッチへ行った際、ワイナリーツアーに参加しました。

生産者の方から、土地のこと、ぶどうの品種、栽培方法
そしてカーブドッチの歴史などを伺い
わたしにとっては大変有意義な時間となりました。

その時、工場内では様々なワインが製造されていたのですが
その中にオレンジワインがありました。

近頃では、巷でも“オレンジワイン”なるものを
見聞きする機会が少なくありません。

しかし、わたしはそれまでオレンジワインに接触する機会が
ほとんどなく、知識としても皆無でした。


恥ずかしながら、
「きっと液体がオレンジ色なのだろう」
「あるいはオレンジ果汁でも混ぜて
通常のぶどうワインとの差別化を図っているのだろう」
などと、ぼんやり考えていたのです。

そして後に、この“ぼんやり”が、実に解像度の低い理解であったことを
思い知らされます。
通常、白ワインを造る際には、ぶどうを圧搾したあと果皮を取り除き
果汁のみを発酵させます。

一方、赤ワインは黒ぶどうを原料とし
果皮や種ごと発酵させます。

そのため、赤ワインには果皮や種の成分が溶け込み
独特の色合いや渋み、複雑な風味が生まれるわけです。

では、オレンジワインはどうか。

これは白ぶどうを使いながら、赤ワインと同様に果皮や種とともに
発酵させる製法を取ります。

その過程で、果皮からタンニンや色素が抽出され
独特の風味と琥珀色が生まれる。

つまり、“オレンジ色になるからオレンジワイン”なのであって
オレンジの果汁など一滴たりとも使われていなかったのでありました。

ワイナリーツアーの参加者の中で、「オレンジ果汁入りワイン」
などという幼稚な誤解をしていたのは
きっとわたしだけだったでしょう。

そう思うと急に恥ずかしくなり
その場にあるワインを片端からがぶ飲みして
酩酊してしまいたい気持ちになりました。

しかし、さらに驚いたのはここからです。

オレンジワインは、一部地域――具体的にはジョージアで
およそ8000年前から造られていたというのです。

わたしが“最近流行り出した新種のワイン”くらいに思っていたものが
実は遥か昔から存在していた。

この事実は、わたしに妙な感覚を与えました。