オレンジワインからみる編集力・後編

 2026.5






オレンジワインが現代人に与える印象や存在からわたしが学んだことを
少し大袈裟に、哲学的エッセンスを加えて言うのであれば
それは「価値観の創造」ということでした。

皆が皆、おとなしく同じようにワインを作り

「これが正しい」
「これがあるべき姿だ」

と、長い年月をかけて共有していく。

もちろん、その積み重ねには美学があります。
先人たちの知恵や努力によって洗練されてきたのでしょう。

けれど、物事というのは時に、ほんの些細な偶然や
ちょっとした“ズレ”から変化していく。


たとえば、「今年、赤ぶどうが不作だから白ぶどうでやっちゃおうぜ」
そんな半ば雑な発想から、新しい価値が
生まれた可能性だってあるかもしれない。

あるいは、そもそも当時の人々には、現代人のように

「白ワインの作り方」
「赤ワインの作り方」

と厳密に区分する価値観そのものが存在しなかったのかもしれません。
物事を分解して見ること。
そして、それらをどう繋ぎ直すか編集すること。


これは、ワインに限らず、日常にも
あらゆる仕事にも当てはまることのように思います。

決められたことを、決められた通りに永続的に行う。
そこにも当然、美学がありますし、根気も必要です。

しかし一方で、ひとつひとつのそれがそうあるべき理由
そうなった理由という本質を改めて見つめ直す視点。

そして、その“あいだ”をどう繋げるのかという編集力。


時代や状況によって、求められるものも、価値も変化します。

仕事や技術、日常の料理や掃除にしても
関係しうる力であると考えるきっかけになりました。