10年越しの勝負

2025.2





最後に村上春樹作品を読んだのは10年くらい前だった。

20代前半村上作品を読んでいた。ところが
1Q84を読み終わったあとお腹いっぱいになってしまったというか
もやもやしたものに満たされてもう村上春樹読みたくないかも。
むしろ、村上春樹アレルギーかもしれない。とも思った。
なぜだかはわからない。
そこで、自宅にあった村上作品はダンボールに封印した。
封印は解かれる事なく10年に及んだ。


そんなある時、最近お客様でラオスに旅行に行った方の話を聞いていたこともあってか、某古本屋にて目に留まった2015年発行村上春樹著「ラオスにいったい何があるというんですか?」を手に取ってしまった。

ゲームでいえばボスを封印していたのに新たにボスが発生してしまって後に引けない感じだ。
わたしはこのボスと真っ向勝負しなければならない。そう感じた。


本を開くと各地での暮らしたり滞在した都市にて感じた事柄が、長編小説で醸し出す文体よりも親しみやすい感じで書かれていた。
なぜわたしはこうも村上作品に拒否反応をしていたのだろうと呆気にとられた。
また久しく海外旅行をしていない身からすると、旅行記とも違う目線で書かれたその土地は不思議な魅力を纏いわたしもしばらく滞在してみたいとも思わされた。



そして、読み終えたあとわたし思った。
「うん。また次に村上作品を読むのは10年後な気がする。」
という感覚になった方はわたし以外にもいるだろうか?


makino