私が出会った街 前編

2026.8










上京してから、気づけば何度も足を運ぶようになった街があります。

それが、横須賀です。

今振り返ると、私の10代の感性は
この街で形成されたと言っても過言ではありません。


横須賀と聞くと、軍港やドブ板通り、異国情緒あふれる街並みを
思い浮かべる方も多いと思います。

もちろんそれも横須賀の魅力です。

でも私が惹かれたのは、もっと静かな部分でした。

古い建物の中にあるアンティークショップ。

何十年も前の誰かの手を渡り歩いてきた道具や家具。

大量生産では生まれない、時間だけがつくる表情を持ったものたち。
その一つひとつに歴史があり、物語がある。

新品にはない温度が、そこにはありました。

そして何より印象に残っているのは、その街で出会った人たちです。

自分で洋服を仕立てる人。
古い建物を改装してお店を営む人。

好きなものだけを集めて、小さなお店を続けている人。

誰かに合わせるのではなく
自分の「好き」を信じて仕事をしている人たちが、本当にたくさんいました。

今思えば、横須賀で出会った人たちは、どこか共通していました。

肩の力が抜けていて、でも芯は強い。
流行を追いかけるというより、自分の世界を大切にしている。

その姿が、とてもかっこよく見えたのを覚えています。

横須賀を歩いていると、不思議と時間がゆっくり流れます。

急いで何かを探すのではなく、気になった路地へ入り
古い店をのぞき、店主さんと少し話をする。

そんな時間そのものが、この街の魅力なのだと思います。
10代だった私は、その空気に何度も救われ、何度も刺激を受けました。






natsuki